『庭づくりって,塀やフェンスをつくるだけでなく、木を植えたり草花を育てたりするのが楽しいはずなのに、外構会社の人ってどうして木や草花についてあんまり知らないんだろう?』
私が外構会社に勤めたときに感じた はじめての事です。
ご多聞にもれず、当の私自身、桜と梅の花の区別もつかないありさま、
はやりの ハナミズキの木 なんてどんなのか当然知る由もないし、
木といえば知っているのは、松 ぐらい。 どんぐりの木 だって、
知らない!・・・
ある日
シャービックな石畳を敷いてお洒落なアプローチをつくり、かっこいいフェンスをたてたそのあと、たった一本のシンボルツリーが、まわりの雰囲気を一変させた!
次の日から、私の 植木屋さん通い がはじまった。
樹木について、草花について、片っ端から知りたかったし、知らないとこの仕事ができない! そんな気がした。
「スパッ!」 剪定ばさみから伝わるあの感触に今は快感すらおぼえるまでになった。
そんな私の体験から、樹木について、草花について感じたことを、思いつくままに書いてみました。
はじめに シンボルツリーについて
おうちを特徴づける象徴的な一本の高木(シンボルツリー)には 常緑樹と落葉樹があります。 現状ではシンボルツリーとして常緑樹を好まれる方が多いように思います。なぜなら、常緑樹は一年を通して葉をつけているからですが、実はそれは見た目であって、常緑樹の葉も常に葉を落とし更新しています。 主に春先に葉を落とすことが多く、常緑樹の落ち葉掃除は風の強い春が大変です。 常緑樹として好まれるシンボルツリー、 種類はそれほど多くありません。 代表的なシマトネリコをはじめ 、オリーブ、ソヨゴ、常緑ヤマボウシ、フェイジョア、カラタネオガタマ(ポートワイン)、カシの木、ソテツ・・・・が主なものですから、これだけ知っていれば十分といえます。
これに対し、秋から春にかけて葉を全部落とす落葉樹の種類はかなり多く、
皆さんお馴染みのもの、きれいな花の咲くものは大半がそうです。
また、冬、枝だけになったときに、きれいに剪定すれば翌春、きれいな姿できれいな花が咲く・・そんな冬の落葉樹に哀愁を感じ始めたら、いっぱしの
【通】といえます。
そして、常緑、落葉を問わず、ここで大切なのは
シンボルツリーを植えたその足元の低木、下草、草花をどう植えるか、どう飾るかが ポイントです。
それらは最後の仕上げとなり、風情が出るも出ないも その使い方次第なのです。
シンボルツリーを生かすも殺すも 下草次第!です。 お忘れなく!
またこれらは一般には中・高木ですから そのままほおっておくと,とてつもなく大きくなります。 剪定もせず放任すると、幹も太くなり、一度太くなった幹は元に戻せません。枝を切ってもまた強い枝を茂らすので、年を追うごとに管理の手間がかかります。
毎年、剪定することによって、枝葉が減り、成長が抑えられ美しい樹形が楽しめます。
次に ナチュラルガーデンについて
自然の姿をデザインに取り込んだスタイルが 「自然風」 です。
ほおっておいて放任したままにしておくのは ナチュラルではありません。
その自然な美しさを保つのに ある程度の決まりごとがあるのも事実です。
まず、配置の基準となるのが シンメトリー(左右対称)です。
花や緑で玄関を飾る場合、シンメトリーで飾るとフォーマルで安定した感じが演出されます。 コンテナやハンギングバスケットも扉の左右に対にして設置すると落ち着いた印象になります。
そして、それらシンメトリーを知った上で形をくずして 、アンシンメトリー(左右非対称)に飾ると変化が出て、動きのある構成になることがあります。
また花壇ではたいてい細長いスペースに草花を植えることが多く、その場合、バランスを考えて、
草丈の高い植物を奥に配置し、手前になるに従って順に草丈の低い植物を植えこむのが美しく見える秘訣です。
またナチュラルガーデンでは、淡い柔らかい色調のパステルカラーや、やや控えめに見える小さな花をつける植物の組み合わせが適しているようです。
ピンクは甘い感じを与え、人の心をやさしく包み込んでくれる感覚があり
イエロー、オレンジは軽快で明るいイメージが共感を招き、陽気で情熱的な
雰囲気が、
ブルーは空や海を思わせ、凛とした色合いが人の心を落ち着かせてくれま す。
これらとホワイトを組み合わせると、 ピンクはより上品で優雅な大人の色合いに、 ブルーはすっきりとクールな清涼感を感じさせます。
お花屋さんに行くと きれいないろんな色に目がいって、あれもこれもと たくさんの色の花ポットを買ってしまいがちです。 私の場合、 今日は赤と白だけ とか 今日は青色の花 ・・という風に決めて買うようにしています。 そして 同じ色はなるべく同じ場所に植えるようにしています。
あまり色を使いすぎると、かえって落ち着きのない雰囲気になりますのでご注意を!
またお手入れについても、
根元のまわりの古い枯れた葉や根をきれいに取り除き、枯れた花もこまめに摘み取ります。 一度枯れた葉はまず再生することはありませんし、雑菌の繁殖の原因にもなります。 新しい葉っぱはまたすぐ生えてきますから。
そして一番大事なのは何といっても 土 。 詳しくは割愛しますが、固くならないよう畑のようにふんわりと柔らかく保つことが必要です。
なぜなら、呼吸は主に葉の裏や茎でしますが、実は根でも呼吸していて、酸素を取り込んでいるからです。
以上 これら素晴らしき自然植物たち
彼らとともに ぜひ 印象に残る庭づくり をしてみたいものですね。
そのため 庭のプランニングをするとき やはり参考になるのが 様々な美しいお庭の写真です。
でも それは美しい時期の一瞬を写したものです。
どんなに素晴らしいデザインの庭でも一年も手を入れないと、見るも無残な姿になってしまいます。
本当に必要なのは 年間にわたってその後の変化する姿をイメージすること、
このことが大切なように思います。
家族の中の誰がお世話をするのか、 それにどれくらいの手間(時間)と 費用をかけられるのかを検討する必要もあるように思います。
そして 長きにわたって 家族のみんなの 安らぎのお庭であり続けたいと
思います。